【 雪を待つ 】
春の精として生を受け、数多の季節を過ごしてきた。
寒い冬を乗り切れば、新たな花を咲かせることになる。
(今年は暖かいなぁ…)
あまり気温が高いと、体内時計が狂ってしまう。
早く寒波がやって来ないかと、首を長くして待っている。
「やぁ、こんにちは!」
冬を運ぶ風に乗って、将軍はやって来た。
「今年は随分とのんびりな登場ですね」
「手厳しいな。でも、一緒に雪ん子も連れてきましたよ」
小さな雪の精は、将軍にわらわらとくっついて、
こちらの様子を窺っている。
「おチビさんたち、さっそくお仕事頑張ってもらうよ!」
さぁ、しっかり冬を過ごして、春に備えようじゃないか。
12/16/2023, 3:51:34 AM