紅茶の香り
この香りは美月の…
俺は無我夢中に香りの方へ向かった
そしたら、豪邸の庭でお茶をしているお嬢様を見た
咄嗟に入ってしまいそうだったがグッとくらえた
俺とは立場が雲泥の差なのだ
紅茶にであったって美月が帰ってくるわけではない。
俺は家に戻ろうとした
そしたら、
「どうなさいましたか?」
お嬢様が声をかけてくださった
「い、いや〜
実はなくなった妻の淹れた紅茶の香りがしたので
来てみましたが、勝手にみてすいませんでした。」
私は一刻も早く離れたほうがいいと考えた
私どもがお嬢様に少しでも手を出したら
一生かけて償いきれない
「そうでしたか。
よければこちらをどうぞ」
「え?」
思わず声が出てしまった
こんなのに話しかけてくださっただけでなく
紅茶を渡されようとしているのだ
「いえいえ
私めには大層すぎます。」
不安そうな顔になりながら
「一緒に飲んでくださいませんか?」と聞かれた
私は考えるよりも先に答えていた。
紅茶が笑顔を作ったのだ
紅茶の香りが心地いい
まるでまた美月一緒にいるみたいだ。
待っててね
もう少しだけゆっくりしてからそちらに行くよ
10/27/2024, 5:09:22 PM