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今日は雨か。折り畳み傘を鞄の中に入れておいて正解
だった。そう思いながら教室を出る。
廊下では傘を持って来ていないという誰かの困った声や
持ってきておいて良かったという安堵の声が聞こえて
来る。玄関で靴を履き替えているとあの子がため息を
ついて空を見上げていた。
「なあ、もしかして傘忘れたの。」
「えっ、うん。まさか急に降ってくるなんて思わなくて。はぁ、これからどうしよう。」
彼女は災難だとでもいうように眉を下げている。
俺は傘を持っている。どうする、言うか言わないか。
断られないだろうか。不安を抱えながら口を開く。
「丁度いいことにここに傘を持ってる奴がいるんだけどさ。」
「うん? 何がいいたいの。」
「つまり一緒に帰らないかって言うこと。まあ相合い傘になるんだけどさ一緒に帰れば濡れて風邪引かないだろ。」
声が震える。ああ、今彼女はどんな顔をしているんだろう。怖くて見られない。
「いいの?ありがとう。」
「う、うん。じゃあ行こうぜ。」
今日のことは一生忘れないだろう。顔がニヤけそうになりながら学校を出た。

『相合い傘』

6/20/2023, 2:51:22 AM