XXXX年X月2日
工業地帯では特に化物との遭遇もなく、目的地である商業区へ到着できた。途中で橋を渡ったが、先日感じた強烈な潮の香りはすっかりと消え失せ元通りの静かな河に戻っていた。
当時の商業の中心地には大小様々な店が立ち並んでいた。そのうちのいくつかは私でも聞いたことのある有名なブランドのものだ。多くの人間が出入りしていたであろう店は外も内もすっかりと寂れてしまっており物悲しさを感じさせた。
半ばほどまで進んだところ、後輩が細い横道の向こうに人影を見たと言い出した。
化物の可能性が高い。襲われる危険はあるが、一度は姿を確認しておくべきだろう。警戒しながら細い路地を進むこととした。
左右に枝分かれする突き当りまで進んだものの人影を見つけることはできなかった。しかし、左手の分かれ道の途中に見覚えのある物が落ちているのを発見できた。
端末だ。機種は調査団の使用していたものと一致する。
調査団の誰かが、ここで端末を落としていったのだろうか。
案の定電源は入らなかったが外部に破損の形式は見られないため、バッテリーが切れているだけようだ。
持ち帰れば中身を確認できるかもしれない。
9/2/2024, 3:40:33 AM