赤月

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かごの中にいる鳥は大層美しく、この世の贅沢を謳歌するものの象徴に思えた。

濡れた瞳は宝石のように輝き、瞬きからは星屑が散らばる。
口を開けばころころと涼やかな音色で歌い、羽ばたき舞う姿は天女の如く。

「どうですお客様。この美しさは他の何ものにも代え難いでしょう?」

商人は両手を擦り合わせながら笑顔で言った。

「ご安心ください。きちんと腱を切っておりますので逃げることは出来ません」

飛べない翼を纏うその鳥は大層美しく、この世の醜い残酷を象徴するものに思えた。

11/11/2023, 4:33:43 PM