『寂しさ』
冬の夜の空気を、めいいっぱい吸ってやった。鼻がつんと痛くなる。そういえば耳も痛い。もういっそのこと、全部凍りついてしまった方が、幸せだと思う。空を見上げてみる。星が瞬いている。冬は空が綺麗だ。それゆえ、心がこんなにも痛い。私、もうこんな綺麗なひとにはなれないんだろうな。星が消えた。私は俯く。ポタ、と何かが落ちる音がした。馬鹿だな、泣いているらしい。
ねえ、誰か。誰かいないの。
誰もいない冬の夜。凍える空の下で、小さく呟いて、ついに座り込んで泣いた。ここで初めて、私はちゃんと泣いているんだとわかった。涙まで流したら、私にはもう本当に、汚い不純物しか残らない。涙は辛うじて、光に当てれば宝石みたいだって形容してもらえるけど、それ以外は何もない。私のこの、吐き出したくなるような寂しさ、虚しさ、つらさ、そういった類のものは、誰もが気持ち悪いと、助けてほしいアピールだと一蹴するものだ。もう、このまま消えてしまいたい。誰からも気づかれないように、そっと、記憶から抜け落ちるように。
「あれ、なにしてんの」
やけに暖かい声だった。私は振り向く勇気がなかった。だって、その声は大好きなあなたの声だったから。
12/20/2024, 8:19:49 AM