【終わりにしよう】
彼女と出会った事を、僕は運命のように思う日がある。
「やぁ、きみか」
お昼休み。
校庭の隅の木漏れ日で、友人と弁当を広げると。彼女は音もなくやってきた。
「今日は僕のお弁当食べるの?」
笑って尋ねると、ふぃっと横を向く。
「あ、これが噂の?」
「本当だ、美女じゃん」
友人も彼女を見つけると思い思いに口を開いた。
ね。美女さんでしょ。
ツンデレで小柄な所も、僕はとても気に入っている。
友人のそばをすり抜けて、彼女が僕の元に来ると足に手を置いた。
彼女の一声で、僕はにやけてしまう。
「ねぇ、そろそろ野良生活を終わらせて、僕の家に嫁がない?」
「お前は子猫と結婚する気かっ!」
友人のツッコミにどっと笑いが起こる。
彼女はと言うと、僕から卵焼きを受け取りながら、にゃあ、とそっけなく鳴いた。
7/15/2023, 8:37:36 PM