葬四季

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愛する、それ故に


この世界で必要のない人間を愛した貴方は、
その人間が天使であることに気付いたらしい。

白い羽根が今にも背中から現れそうなほどに
無邪気で健気で無知な天使は、
信頼して愛してくれた貴方に恩返しをしたいらしい。

だけど貴方には大きな傷跡が今も心に住んでいた。
治すことのできない病は、
天使が触れる事すらも許さない。
それでもいいんだよと天使は貴方に寄り添った。


「きっと神様のイタズラだよ。
…知らない神様のせいにしちゃおう。
貴方も、その子も、みんな悪くないんだよ。」

貴方は目を隠して、そうだねと静かに話した。


空には大きな花弁が音と共に咲き誇る夏の日、
貴方は天使の言葉に救われて、
静かに泣いたのだろう。

貴方だけの天使は、ずっとそばにいるよ。
どんな季節や天気が訪れようとも、貴方の隣に。

10/8/2025, 11:04:16 AM