すべて最初から決まっていた。
この町で生まれ、この家で暮らし、この学校で、この人たちと…全て予定調和、私の人生なんて真っ直ぐ敷かれた一本レールみたいなものだ。
「それは驕りだよ」
崖から海辺を眺めていると、背後から何者かに声を掛けられた。
ここは滅多に人が来ない場所なのに、相変わらず自分はツイてないなと思ったが、見届け人がいるのも悪くはない。
私が海へ飛び込もうとすると、それを引き止めるように男は喋り出す。
「今君は、過去選択した結果の連続でそこに立っている」
「過去とはあくまで結果でしか無いのだから、振り返ると一本なのは当たり前だ」
「君の人生がつまらないのは、後ろばっか見てるからじゃあないのかい」
「は?」
見知らぬ男に説教をされた私はついカッとなって男に殴りかかってしまった。
男はしたり顔でそれをあしらい私を返り討ちにすると、どこかへ去っていった。
#最初から決まっていた
8/7/2023, 1:21:13 PM