おこめ

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「返事は、すぐじゃなくてもいいから……」
「すぐ……でもいいか、な。」


「わたしもす、きです。……よろしく、お願いします。」

心臓がうるさくて、顔も手も熱くてあつくて、目が溶けそうで、震える膝は頼りなくて座り込んでしまいそうだったから、


バレないように逃げたの。


真黒な少し癖のある、私より少し高い頭。
広いけど華奢な背中。だいすきだった。

私じゃないのは知ってた、付き合うつもりだって伝えるつもりだってなかった。でも好きだった。

好きだったから、この3年間位は、隣で、1番で、居たかったのになぁ。
大人になればこれだって私の青春の1ページになるでしょう。その頃には伝えることができたりするんだろうか。
明日、君はそうでも無いと取り繕ったような嬉しそうな顔で私に「恋人ができた。」と告げるんだろう。
その時、私は笑顔で祝福できるだろうか、いや、しなければいけない。私が隣に居るために。1番じゃなくても、傍に居るために。さよなら私の恋、私には結べなかった愛よ。

今日は帰ろう。帰っていっぱい泣こう。


明日、笑うため、結ばれた2人を祝福する為に。


「昨日さ、彼から告白されてさ。」
「……うん。」
「付き合う……事になっ、た。」
「ふふ、おめでとう!ずっと好きだったもんね。」
「そ!んな、ことも無い、くは無いけど、」
「もー恥ずかしがらないでもいいのにー!」

6/4/2024, 12:43:17 AM