CICADA

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私は極度の臆病者だ。
誰にも悟らせないよう、能天気で人当たりもそこそこ良い風を演じてはいるけど、誰にも踏み込ませないエリアというものを持っている。

誰かに踏み荒らされるのが怖い
例えば誰かと親しくなったとして、その先にある別れが怖い
人間はいずれ朽ちる。愛情も、肉体も。
人ならざる生き物とは時間の流れが違うのだ。
そうなって一人に戻った時、耐えられるかが分からない。
いや、きっとそんな頃にはとっくに相手に懐いてしまっているだろうから…
人に懐いてから再び一人に戻るのは地獄のように辛いことだろう。

だから、独りがいい。一人きりでいたい。

寂しくていい。上がって叩き落とされるよりは辛さが軽く済むから。
近付かなければ誰かに迷惑をかけたりもせずに済むから。
故に、私は今日もしょうもない人間を演じて、人の笑顔を遠巻きに見て満足するだけ。

感情はとうの昔に捨ててきた。
これでいいんだよ。

7/31/2024, 1:43:08 PM