NoName

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私はよく思い出す。

カーテンを閉め切って、電気を消した部屋の中、あなたと2人でいたこと。
完璧に暗くしたつもりでも、日の光がじんわりとカーテンから漏れてしまっていたから、あなたの顔が濃い陰影をつけてじんわりと浮き上がっていた。
あなたは口角を上げて、私に尋ねた。
「いる?」
私は答える代わりに、あなたの頬に両手を添える。
その時、あなたの目がきらめいた。
黒い窪みの中でビー玉が光を反射したみたいに。
あまりに一瞬だったから、私はもう一度よく見ようとあなたの目に顔を近づけた。
「近いよ」
あなたがケラケラ笑う。
私が何も言わないうちに、あなたは軽い音と共にカーテンを開け放った。
光の眩しさに、思わず目を細めた。

今思うとあなたのあの一連の行動は、目のきらめきをごまかすためではなかったか。
あのきらめきはなんだったのか。
何でもない時に、わけもなく考えてしまうのだ。

9/5/2024, 3:13:27 AM