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「吹き抜ける風」

 隣を歩くあなたの顔を見つめる。あなたは何を言ったらいいのか分からなさそうに、顔を真っ赤にして、私から目を逸らして前を見ていた。
 気まずくなってしまった2人の間には冷たい冬の風が吹き抜けて、いつもよりあなたが遠く感じる。そのことに何だか悔しさを感じて、あなたの手をとって握った。
 驚いて私の顔を見るあなたに、私は満面の笑みを返した。

 今はまだ、2人の間には風が吹き抜けるだけの間があるけれど、いつかあなたの体温をもっと感じられるくらい寄り添って歩きたい。

11/19/2025, 1:56:53 PM