赤や黄色に色づいた葉に紛れ、空から白い何かが舞い降りてきた。
手を伸ばし、風と踊るそれを掴み取る。見ればそれは、小さな白い羽根だった。
辺りを見渡しても、この羽根の主は見当たらない。
落ち葉よりよほど軽い羽根。陽にかざしながら見つめていれば、突然駆け抜けた一陣の風に乗り、羽根は空高く舞い上がった。
「――あぁ」
不意に込み上げる感情に、思わず胸に手を当てた。
悲しくなどないはずなのに、涙が流れ落ちる。
空を見上げても、あの羽根はもうどこにも見えない。
行かなければいけない。
漠然とした思いに突き動かされ、足は自然と動き出していた。
10/26/2025, 2:39:20 PM