ぬるい炭酸と無口の君
真昼。
セミの合唱の下で、君とボールを取り合っていた。
体育館の舞台上のコーラが練習風景を眺めている。
それが僕の両親となる日を部活の到達点として。
自動販売機の前で、
君が選んでくれたコーラ。
缶の冷たさが皮膚に伝わった。
互いに言葉はなかった。
が、そよ風の静かな音と感覚が二人を包み込んだ。
そのときに視野に移ったスマホの時計から何分経ったのかわからない。
夜になってた。
コーラはぬるかった。
君は笑ってる。
僕も笑った。
ふたつのコーラは空っぽだ。
8/4/2025, 9:06:01 AM