半ばパニックだった
僕の他にカフェにいる客は
新聞を読むサラリーマンぐらいだった
目の前に猫が座り
会釈をすると
ー旦那さん
僕の旦那さんですにゃ
間違いございませんにゃ
と言った
僕が呆気に取られて猫を見つめていると
ー旦那さん
僕は昔旦那さんにおせわになりました猫でございます
そう言った
僕は口を開くものの言葉が出てこない
ー旦那さんが驚きますのも承知の上でございます
と猫は言うと
ーささやかなお礼でござりまする
と丁寧に包みを差し出してきた
え?え?
ちょ…信じられない
僕が言うと
ーどうぞどうぞ、大したものではございませんが
お受け取りになってくださいまし
猫はグイグイ包みを僕に押し付けて
ーそろそろ会議がございますゆえ
これにて失敬
と
猫は ととと…と
車の行き交う道路を容易くすり抜けるようにして
歩いて行った
僕は今その包みを持ち帰って
目の前に置き
夢じゃあるまいか?と
思案するのであった
包みを開けるのはスリルでしかない
11/12/2024, 10:18:35 AM