七夕
今日は一年に一度、貴方が帰ってくる日。
「よぉ、元気にやってたか?織姫サン」
「……何、織姫って」
「そりゃあ、今日が七夕の日だからじゃん」
……そっか。
そういえば、そうだった。
貴方のことしか考えてなくて、そんなのすっかり忘れてた。
なんて。
そんな僕の考えてることは、お見通しだとでもいうように、貴方がニヤニヤと笑って。
「俺に会えるのが嬉しくて忘れてたのかぁ?」
と、揶揄ってくる。
けど、あながち間違いじゃないから。
「そうだよ。七夕なんかより貴方が帰ってくるのが楽しみで仕方がなかったの」
そう、正直に言ってみせれば。
彼はニヤけた顔を止めて。
俺を真剣な目で見つめると。
頭をポンと触ってきて。
「可愛いなぁ、お前は。きっと本物の織姫サンより可愛いよ」
「もう、テキトーなこと言わないでよね」
と言いつつ、貴方に可愛いと言われるのは嬉しいから、頬が緩む。
あぁ、貴方がずっと、僕の傍にいてくれたら良いのに。
なんて。
そんなことを言っても、彼を困らせるだけだから。
俺がいつか必ず、貴方と一緒に暮らせるように頑張るよ。
だから、どうか。
俺の頑張りが叶いますように。
そう、星空に願う僕だった。
End
7/7/2024, 11:22:15 PM