国内某所、住所不詳。とあるぼっちな一室で、事実と空想が半々なワンシーン。
架空の先輩後輩と、不思議な餅売る子狐と、元物書き乙女の日常を主に持ちネタとする物書きの、以下はいわゆる二度目の執筆裏話。
「『もしも未来を見れるならどうする』って?!」
太陽傾く16時。次の題目がスマホの通知画面に届くまで、残り3時間を切っていた。
「んなモン決まってるだろ、昨日の19時の段階で、ひとまず何か書いて投稿してるわな!」
昨日の題目は「もしも未来を見れるなら」。その前が「無色の世界」だったので、いわば、エモさ極振りと思しき題目2連発である。
前回「無色(むしき)」で仏教に逃げたし、今回は未来予知ってことでノストラさんだの何か「未来は全部決定しているのです……」みたいなスピリチュアリストでも登場させるかな。
それとも適当に子狐コンコンで何かブッ飛んだ童話モドキの方がまだマシかな。
と、いくつか話を書き始めたは良いものの、まったくもって投稿に足る最低ラインが整わない。
一度寝て、起きて、それからの方が良い物語を書ける場合がそこそこ多い。
この可能性に、賭けてしまったのがマズかった。
「寝坊しかけたせいでハナシ書く時間無かっただろ、昼もアレよコレよで消えただろ、気がついたらもうこの時間よ。昨日の夜の時点でこの未来が見れるなら、余裕こいて寝ねぇで、何か書いてたわな!」
カタカタカタ、カチカチカチ。
スマホに外付けしたキーボードに、指を滑らせ、叩き、言葉の出て来ぬもどかしさでトントンつつく。
「あー。ちきしょう。俺にももう少し、こういうエモエモ系のお題でもパパっと書けるくらいの文才が有りゃあなぁ!」
日本国内のどこか、住所不詳の一室。
今日も某所在住物書きは、頭を抱え、途方に暮れる。
4/20/2023, 7:23:15 AM