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空が泣く。
愛する者と、引き裂かれた者の、哀悼に空が包まれる。
ジェットエンジンのつんざくような音。
「着陸許可を要請する」
両翼は風を切り、雲を孕んで滑走路に着陸する。
激しい衝撃に、揺れるバランスとともに、長い滑走を終えたあとの、レッドインパルスは、横須賀基地の赤い空に燃えていた。
日本経済が回らなくなって、五年がたった。
国庫は負債を抱え、アメリカや国連の支援に頼らざるを得なくなった。
日本は名前を変えるという話もあったが、革命という話も上がらず、総理大臣がエチオピアに飛んだだけで、この件は丁寧に折りたたまれた折り鶴のように、終局を迎えた。
様々な抵抗活動があった。
半島や、大陸はこぞって、日本を取り込みたかったが、結局は巨大な大国アメリカの庇護に下ることとなった。
それですら、やはり国民からは、非難の声があがった。

今日、僕は暁の空を見ている。
戦争が起こり始めようとしている。
2020年代から続いていた、ロシアとウクライナの戦争は、結局のところ、終わりを見せず、日本の崩壊から、共産主義国家の侵攻を恐れたアメリカは、核兵器のスイッチを押した。
嘉手納基地から、台湾に向けて、最新鋭のロケット兵器が発射される。
それは、テレビでも、放送された。
僕は、ラーメン屋のテレビでそれを見ていたよ。
一体、何年の事だっただろうか。
日本で核の炎が上がったのは、既に四度目の事実で、こんなにも戦争が嫌いなのに、この兵器と由縁がある国も、そうそうないだろう。
それが悔しくて僕は泣いた。

9/16/2023, 10:29:02 AM