チクタクチクタクと時計が時を刻む音が、部屋の中で響く。
木でできた長机の上には屋敷の人達が食べ終えた料理の皿達が残されており、少し重い足取りでそれを片付ける。
「………………はぁ」
手を止めはしないが俺の口からはため息が漏れる。
(来なかったな………)
一番俺の料理を食べて欲しい人が、この食卓には現れなかった。
理由はすでに察しがついている。
と、言うのもこのような日は今日が初めてではない。
だから、“仕方がない”十分に理解している。
このような日、時折彼女は遅れて食卓に来てくれることもある。
ーボロボロの身体のまま。
そのたびに彼女は『遅れちゃってごめんね』と言う。
しかし俺が悲しいのは俺の料理を食べて貰えないことじゃない。
彼女が………俺よりも年下の幼馴染がそんな状況に陥るまで戦っていることだ。
このことを伝えても、彼女は“大丈夫だよ?”としか言ってくれない。
俺の思いは、届かないのだろうか?
ー届かぬ思いー
アイラ・ブルーム
4/16/2024, 10:27:34 AM