ソラキ

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遠くの空へ飛んで行く紙飛行機、イメージは容易いけどね。
青い空、白い紙飛行機が真っ直ぐ飛んでいるいかにもな映像をパッと脳内に描き、亜美は今、自身の目の前で起こっている景色と比較してみた。
どんよりとした鼠色の空。チラシで作った激しい色使いの紙飛行機。そしてその軌道はヘロヘロと不安定に揺れて、今にも落ちそうである。

ありふれた妄想は、中々現実では起こりえない。分かってはいたけどここまで落差があるとは思っていなくて、声は出さずに笑ってしまった。
「ぎゃー!落ちそう!」
一花の叫び声が響く。数分前に、紙飛行機飛ばすわ、と唐突に宣言した亜美の友人は、めちゃくちゃな軌道と共に走っている真っ最中だ。私は少し遠くに立ち、1人と1つを動画に収めている。あ、風が吹いた。
「え!亜美ちゃん見てめっちゃ飛んだ!」
指を差して、本気で喜んでいる一花に「見てる見てる」と笑って答える。
鼠色の空で、チラシの紙飛行機で、軌道は風任せに舞って、降りて、なんかフラフラしてて。
なのに私は今凄く楽しい。なんでだろう、分からない。一花が、亜美とまた呼ぶから、私も紙飛行機を追いかけに駆け出した。


/遠くの空へ

4/12/2022, 2:59:38 PM