歩道の向こうから自転車がやって来る。
「危ない」
って言って、私の手を思いっきり引き寄せたあなた。私はあなたの手を握りながら、たくましい背中を見てにやけてしまった。
「よいしょ。」
と持ち直したあなたの右手のスーパーのレジ袋には、お肉とニンジン、ジャガイモ、玉ねぎ。そしてタタミイワシ。
「大丈夫?」
ってあなたの顔を見上げると、
「早く帰ってビール飲みたい。」
ショルダーバッグからタオルを取り出して、そっとあなたの汗ばんだおでこをふく。2時間ぐらい歩いて、足には程よい疲労感。行き道はおしゃべりだったあなたも、帰り道は口数が減っていた。
「見て、すごい雲。」
私が空を指差すとあなたも空を見上げ、
「急いで帰った方がいいかもね。」
「どうして?」
「雨降るかも。入道雲出てるから」
「ふーん。やば、洗濯物」
少し歩調を早めた二人。
でもね、正直言うと。雲ってどれも同じに見えて。いまだに私は入道雲を見分けることができない。
6/29/2024, 6:47:40 PM