「一生君の傍に居る。」
こんな事を言った過去の自分を殴ってやりたい。
「もう最後だね。」
窓の外を眺めながら彼女が言った。顔がよく見ない。しかし、泣いているような気がした。
「そんな事言わないでよ。」
僕は泣いていた。そんな僕の涙を彼女は拭ってくれた。
「泣かないで。笑って。」
何でこんなに優しい彼女が、病気で死ななければならないのか。僕は神を呪った。
「一生君の傍に居る。だから、君も僕から離れないで。」
僕の言葉を聞いた彼女は、少し悲しそうな顔をした。
「ありがとう。」
そう言う彼女の顔は、どこか悲しそうな笑顔だった。
〈今までありがとう。君のお陰で楽しい人生だったよ。私があっちに逝っても、泣かないで笑っててね。〉
彼女の遺書を読んで、僕は泣いた。あの時、一生なんて言わなければ良かった。彼女にとってあの言葉はどれだけ辛かったか。どれだけ呪ったのか。もっと考えて、言えば良かった。謝らなきゃ。僕が彼女を苦しめたのなら、僕は謝らなきゃ。じゃないと、彼女の彼氏だなんて名乗れないよ。僕は屋上に向かった。
〈今から逝くよ〉
僕は彼女宛に、一件のLINEを送った。送信してから思う。何で僕はこんな無駄な事をしたのか。分からないけど、死への恐怖を振り払いたかったのかも。彼女はこんなに怖い事を、一人で抱えていたのか。でも大丈夫。これからは、僕も一緒に抱えるよ。僕は、重力に従うように落ちて逝った。
7/11/2024, 2:10:56 PM