題 ルール
「絶対におかしい!」
私はクルッと彼氏を振り返って言った。
「何が?」
と涼し気な顔の彼氏。
「だってそうでしょ?家に帰ったら絶対に5分以内にメールして、メール返信も10分以内って変じゃない?そんな事してる人周りにいないんだけど」
「いや、別にそれだけ俺達の愛が強いってことなんだからいいじゃん」
「私は、けっこう負担なんだけど。いつも返せないし、返せないとネチネチ責めるしさ・・・」
恨みがましい目で彼氏を見ると、彼氏は動じることなく微笑んだ。
「だって、それは夏美がルール破るからだろ?」
「そういうルールを強要するのはおかしいよっ、私、楽しくない」
私が感情的に言うと、彼氏は顔を歪めた。
「楽しくないの?俺はいつでも夏美と連絡取りたいんだけど」
「もちろん、私もだよ。でも、ルールにするのは違うじゃん。それを出来なかったら責めるのも違うと思う!このままじゃ、私、あなたと付き合っていくの無理だと思う」
私ははっきりと私の気持ちを伝えた。
ずっと責められるたびに考えていたことなんだ。
彼氏は、驚いたような顔をしている。
「えっ?別れるってこと?」
「うん、こんなにルール縛りされるなら、別れたい」
「分かった!!もう言わないよ。ルールはなしにしよう。もう、夏美にこれしてとか言わないから、別れるとか言わないで・・・」
彼氏は、哀願するような口調と顔で言う。
彼氏のこんな必死な顔、初めて見た。
私は呆然と見ていたけど、いたずら心がわいて来る。
「どうしよっかな〜」
「頼むよ、別れるなんて嫌だ!」
泣きそうな顔で頼む彼氏に、可哀想な気持ちになる。
「わかったよ。じゃあ、ルールで縛らないこと!ちゃんと必要なルールなら、お互い納得してから決めようね」
「ああ・・・、分かった」
彼氏は私の手をギュッと握る。
「ありがとう・・・」
「ううん、分かってくれたならいいんだ」
話し合いができて良かったと思った。
彼氏が私の言葉を聞いてくれて、私を思っていてくれたことを確認できて良かった。
またルール縛りをするかどうかはこれからの彼氏の行動を見ようかなって思うけど・・・。
とりあえず、今は彼氏の言葉を信じてみようと思った。
4/24/2024, 11:16:06 AM