思い出

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昔、お祖母さんから貰った手鏡がある。
裏面や持ち手が、まるでステンドグラスの様に美しく加工が施されているとても華やかで、キラキラと輝いている。

その鏡は、お祖母さんが私の為に美術館で買ってきてくれた、とても大切で、思い出の詰まった鏡。

受け取った時には咄嗟に、

「私には勿体ないよ!」

と言ってしまったけれど、お祖母さんは気にしないで、

「あなたに受け取って欲しいの。だから、遠慮しないで。
その鏡を使って、いっぱい可愛くなるの。」

そんな事を言って、上品に笑った。

貰った時は、私には勿体ないという想いと、キレイでかわいいでうれしいな、なんて気持ちが胸に湧いてきた。

私は、鏡はあまり好きじゃなかったけれど、その手鏡だけは特別である。

どんなに落ち込んでいたり、悲しかったりしても、
その手鏡を見ると、私は少し笑顔になれる。

8/18/2023, 11:02:20 AM