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花束が潰れないように抱える。
電車に乗っていると冷房の涼しさが心地よく、眠気が押し寄せた。
どれほどの時間が経っただろうか。
目を開けると、まず白い眩しさを感じた。目が慣れると、車内にぽつぽつといた人たちがいなくなっていることに気づいた。電車は止まり、扉も空いている。扉の先は白くて、世界がやけに静かだった。状況を認知したとたん、焦りと恐怖が私を支配した。
ここはどこか?
白に踏み入れると、きれいな花がたくさん咲いていた。植物園でおばあちゃんに買ってもらった花。結局は枯らしたくせに。
小学校で育てたチューリップ。みんなが楽しそうに球根を選んでいたが、わたしはどれも同じだと思い、輪に入るのを遠慮した。
アサガオも育てた。観察日記をかくのがめんどくさかった。花びらの感触をおぼえている。
未だにそんなことを気にしていた。
これは夢であり遠い日の記憶なのだろうと気付いた。
そして、墓参り用に買った花束の感触を確認した。
わたし自身が心愉しいものではないことも。

7/17/2024, 4:01:50 PM