好きな本コン、と表紙を軽く叩くとそんな音が鳴った。焦げ茶色のそれは中々に厚みのある本で、サイズも少し大きかった。表紙に書かれた文字をなぞると、文字の部分が少しへこんでいて、目を閉じていてもその文字がわかるのが嬉しかった。表紙を開いて、ページをめくれば、そこにはたった一言、『Dear you』と書かれている。私に向けられた、私のためだけの、世界にたった一つの本。本の最後のページにも、また一言だけ書いてあった。『From N』
6/15/2023, 1:48:53 PM