軽やかなステップ、君の足音。
こちょこちょの魔法をかけてあげよう。
楽しさでいっぱいの…ピンクの嬉しさ、明日はないかもだけど、今日だけはいっぱいいっぱい抱いてあげたい。
ふわふわでうきうきで優しい。そんな子どもの頃の世界をほんの少しだけ垣間見て…。
ふと、寂しく思った。
寒い今日という日に特別な甘いシフォンケーキができる。
「明日からはなしにしなくちゃ」
「なんで?」
「だめなんだ。そういう甘いのは、…大人はだめ」
「大人はだめ?」
「大人はコーヒーゼリーでいなくちゃ」
「コーヒーゼリー?それってどんな味?」
「苦いの。苦いんだけど、甘さも知ってるの。でもほとんど苦くて、甘くないの」
「それって美味しいの?」
「美味しいよ」
「どこが?」
「苦いの、苦い世界にまみれて…また甘い味を思い出そうと、苦い味を舌でつぶすのが美味しいの」
君の瞳がこちらをうつす。
「今日のおやつは?」
「シフォンケーキ、あとはハートの砂糖」
「はい、じゃあ一個あげる」
「ありがとう」
手に落ちた小さなハート。口に入れると昔に閉じ込めたhappyな味がした。
特別寒い今日だけ…思い出させてくれた。
『冬の足音』
12/3/2025, 2:34:36 PM