私はブランコ競走が好きだった。
誰よりも高く漕いで風を感じるの。
少し高くなりすぎて怖くなったこともあったけど
それも含め私には楽しいとっても大好きな遊具だった。
でもみんなは鬼ごっこばっかりやろうとする。
私は足が遅いから鬼ごっこは嫌いだった。
だって捕まえられなきゃつまらないし
必死に頑張っても捕まえられなかったし
バリアとか使ってくるんだもん。
でも彼は私の扱いをこの頃から分かってたみたい。
「終わったら一緒にブランコ乗ろうね」
「うん!」
「俺タッチしていいよ。」
「いいの?」
「うん。いいよ。」
そう言う彼にタッチした。
「頑張って」
彼は笑って走っていった。
彼は足が早いからあっという間に
誰かにタッチして戻ってきた。
「じゃあブランコ乗ろ?」
彼はそう言って私の手を引いた。
好きな人が私の手を触れるなんて
恥ずかしくなって顔は赤かったと思う。
あのころの彼は私の夫となって
私のそばに居てくれる
“ブランコ”
それは私の人生の大きな1ピースになっている
─────『ブランコ』
2/1/2023, 9:18:17 PM