「キャンドル」
「なあ!11月だけどさあ!百物語やろうぜ!!」
「なんで心まで冷えなきゃいけないんだよ」「それな」「俺ら4人よ?1人25個もそんな話知らんし」「散々で泣くわ……。」
「でも安心してください!ここになんと100本のCandleがあるんです……!あとはわかるな?」
「お前の髪の毛燃やせってこと?」「ひどーい!いぢわるはよくないもん!」「カッコよくキャンドルって言ったつもりかもしれないけど滑ってる」「普通にろうそくって言えよ」「ひどーい」
「まあいいじゃん!とりあえず始めよう!」
「……で、どうやって火ィつけんの?」「あ」
「「(ため息)」」
『あ、ここにライターあるじゃん。』
「マジで?!ラッキー!でもなんでだろ。ま、いっかー。」
「新品のライターがいきなり……妙だな……。」
「名探偵気取りかよwwwてか、ビビってらー!」
「うるせー!」「色んな意味でもうすでに怖い」
「100本も火ィつけんのめんどくさー!!手伝って!」
「言い出しっぺがやれよ」「ライター一個しかないのに」
「がんばれー(棒)」
『ろうそくからろうそくに火を移せば早いよ。』
「たしかに。」「俺は手伝わんけど」「いや、逆に早く終わらしちゃおうぜ?」「せやな」
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「よーし!これで準備完了!あとはしゃべるだけ!」
「んじゃ、お前から!そういうのなんか知ってそうだし。」
「は???お前からじゃないんかい!」
「これはおれのいとこの友達のおじいちゃんの再従曾姪孫から聞いた話なんだけど───「なんて???」「だからー、おれの、いとこの、友達の、おじいちゃんの、再従曾姪孫!」
「怖い!もうろうそく消す!」「は??????」
「次はお前!」「なんでやねん」「話うまそうだから」「怪談はしたことない」「えー!でもとりあえず始めて!」
「あー……題名は『恐怖の味噌汁』」「ごくり……」
「これはある家庭で起こった出来事……。奥さんは悩んでいました。今日の献立をどうしようかと。白米、魚の塩焼き、ほうれん草のお浸し。ここまでは決まりました…。」
「ですがもう一品がどうしても決まらないのです。」
「それで十分じゃね?」「ちゃちゃ入れんな!」
「……えー、そして、ようやく決めたのです。」
「味噌汁に何を入れるかを……。」
「帰ってきたら家族からふと聞かれました。『今日の味噌汁なに?』と。」
「そして彼女はこう答えました。」
「『今日麩の味噌汁』と。」「キャーーー(棒)」
「ハイハイ。コワイコワイ。ろうそく消す。」「なんやお前!」
「んじゃ次はお前。」「ほーい。こわいのやだよー。」
「うちの学校の七不思議って知ってる?」
「七不思議って……高校にそんなもんある?」
「知らんなー。」「初耳なんですけど。」
「先輩から聞いたから教えるわ。」
「1 夕方に屋上行くとセーラー服の女子が来るけど、絶対に喋っちゃダメらしい。」
「2 1階のデカい鏡を雨の日に一人で見ると、しばらく体の左側ばっかり怪我するらしい。」
「3 昼休みに音楽室行くと、絶対にないはずのバイオリンが置いてあって、触ると時間が止まって戻れなくなるらしい。」
「4 ここの高校に通う時、白い持ち物をたくさん持つと幽霊が見えるらしい。」
「5 夏の早朝に校門の前に立つと異世界に行けるらしい。」
「6 18時ちょっきりに2階にある男子トイレの3番目の個室をノックすると……これはどうなるんだっけか、忘れちゃった。」
「おいおい……。」
「7 これを全て知っている、かつ男子4人で集まると悪いことが起こるらしい……。」
「結構ガチで怖い」「無理無理むりムリ!!!!」
「いやいや、みんな落ち着けって!」
「は?何言うてんの?!」「あかんやつじゃん!!」
「だって俺ら、5人じゃん?」
『そうそう、その通り!』
「そっかー。」「確かに?」「……?」
「なあ!帰ろう!!」「急にどした?」「ヤバイって!」
『何が?』「だって俺らさ───『元から5人だよ?』
『そうそう!』『俺らは』『元から』『5人!』
「ごめん!もう帰る!」
『せっかくいい香りのアロマキャンドルも混ざってんのにもったいねー』
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『……気づかなかったら、みんなで友達になれたのにね?』
全てのろうそくは突然、灯った火を消した。
11/20/2024, 10:49:14 AM