毛布

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ときどき真っ白でエレガントな陶器を見かけませんか。

あれは「ボーンチャイナ」という高級なカテゴリーの陶器で、一流メーカーの製品にも多いんだけど、量販店の日用品でも見かける。
なるほどホネのように真っ白ってことなんだな、と思っていたんだけど、実は本当に骨を使っていると知ったのが20代前半。
だいたいどこの誰の骨なんだよ、というかそれが分からないのもイヤだけど、分かればもっと嫌だし、そもそもそれ以前に食器に骨を混ぜ込むなんて、これはイギリス人の発想なんだけどとても信じられなくて、それからは買わなくなってしまいました。

不思議なことで、屍体の一部は食事で毎回のように口にしてるんですよ。食品、特に加工食品になってしまうとネガティブなイメージは失われていて、スルメやビーフジャーキーなんか、片手で持って齧りながらネットなんか見ている。死のイメージがどこまで残っていて、どこからなくなるのかが分からない。
しかも、知らなければ何とも思わないし、もちろん実害もないのに、一旦意識されてしまうともう忌避されてしまうし、そのイメージはそのままずっと残って、理不尽にどんどん闇を増して、実体そのものも侵食していく。もうボーンチャイナは使えない、みたいに。
「2001年宇宙の旅」で描かれていたように、殺意というものを意識した原始人が最初に手にした武器は、動物の大腿骨だったに違いない。

11/11/2025, 11:38:36 PM