愛言葉
「おはよう」と言えば「うん」と言い、「またね」と言えば「そうだね」と言うような人。それが僕の中の君だった。僕の愛言葉は、そんなに分かりにくかっただろうか。僕はただ、「おはよう」には「おはよう」と、「好き」には「好き」と言って欲しかっただけだった。
恋愛は愛の重さの前にバランスなのだと知った。いいや、ずいぶん前から気づいていたのだと思う。君に愛を伝えるはずが、いつしか愛のバランスを確かめるだけの言葉になっていた。君が言わないから僕が言う。君に言ってほしいから僕が言う。そうして言葉にするほど、僕たちのバランスは崩れていった。
もう終わりにしよう、と僕は言った。理由は愛言葉の意味をわかりやすく訳して伝えた。君は顔を真っ赤にして、そんなことないと答えた。
「私のどこがそうなのよ」
「すぐにわかる」
「どういうこと」
「さようなら」
「待って、どうしてよ!」
やっぱり君は、最後までそうなんだね。
10/26/2024, 12:56:13 PM