「言葉にするとチープになる」
とあの人は言った。ちょっとわかる気がした。
言葉はなくても、大切にしてくれてるのはわかったからそばにいたいと思った。
でも。少しずつ、それは積もり積もって、不安になってしまった。一度自覚をすると、信じられなくなった。
耐えきれずに、泣きながらそばを離れた。
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「君といると、自分の知ってる言葉じゃ足りなくて。どうしたら、この愛を伝えることができるのかそればかり考えてる」
と貴方は言った。耳の縁を赤くして、困ったように笑いながら。そんな貴方を私は可愛いと思った。
「別にみんなに伝えたいわけじゃないから、君にだけ伝われば良いんだ」
私の手を両手でキュッと握って、私を見つめる瞳はすごく必死だった。
「じゃあさ、一緒に探そうよ。2人だけの愛言葉」
そう私が言えば、貴方は満面の笑みを浮かべ私を勢いよく抱きしめた。
10/26/2024, 11:56:24 AM