此岸

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手のひらの贈り物

小さい頃の記憶。

花を一輪つむ。
もう一輪、もう一輪とつみ左手に納めていく。

色とりどりの花弁たち。
これを栞にするのだ、とあなたは言う。

私もあなたに習い、一輪また一輪とつんでいく。
両手いっぱいの花が手に入った。
庭にある花畑はまだまだ広がっている。

これくらいにしようか、と言うあなたと共に
家の中に入りおし花を作るため花を乾かす。
二、三日待つらしい。

手伝ってくれたお礼にと
分厚い本とココアを持ってきてくれた。
ココアを飲みながら読み聞かせをしてもらう。
書いてあることは難しいけれどあなたの声は落ち着く。

そうこうするうちに私たちは寝てしまっていた。
少しだけ外が薄暗い。
あなたはまだ寝ていたので起こすまいと
音を立てずに外へ出る。

庭の花畑を見ているとあるものが目に入る。
「四葉のクローバーだ」
四葉は縁起がいいとあなたは言っていたっけ。
四葉のクローバーを一輪摘み取り家に入る。

それをあなたの手のひらにのせ、
私は隣で横になる。

起きたらどんな反応をするかなと想像し
あなたが起きるのを待っていたが、
あまりにも遅いためまた寝てしまっていた。

目を覚ますとあなたの後ろ姿。
机上には私があげた四葉のクローバーが
瓶の中に入っており、
それを見たあなたは優しく微笑んでいた。


12/19/2025, 3:03:54 PM