彗皨

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TikTokを開いた。
もう慣れた手つきだった。
毎日TiktokやSNSを使ってコメントを残す
それが日課だった。


ある日、女子高生が友達6人と流行りの音源で学校の廊下で撮っているのが流れてきた。
早々とスクロールをしていた手が止まった。

「何コレ…」
いつものようにコメント欄を開くと、そこには
" 可愛い!"
" やっぱ△△校の制服は可愛い "
" 仲良さそうwwww "
" 右の子のアカウントどこですか!かわいすぎ! "

などのコメントで溢れかえっていた。
「皆…正気なの、??」
私は、急いでコメントを打ち投稿した。

数分が経った時だった
ありえない速度の通知がきた。
それはもう、鳴り止まないくらいに。

「なになに!一体なんなの!」
ものすごい量の通知をタップし、通知がきた導因を辿ってみた。

原因は、私が数分前に投稿したコメントへの返信だった。
「やっぱり皆共感してるんだ。」
そう思い返信を表示すると、自分が想像としていたものと遥か違うものを目にした。


" 別に楽しんでるんだし良くない? "
" ××××さんが言ってる通り、動画の主さんたちが誰かに迷惑かけてるわけじゃないんだしいいじゃん "
" 友達いなそー "
" やめたれwwwwwww "
" 核心突くなWWWWW "

私は、上へとスクロールする度にでてくる私への罵倒や偏見 反対の意見に驚きと悲しみを隠せなかった。
いや、それ以外にも怒りや歓喜した部分もあった。

" あなた、すごく叩かれてますけど私としてはあなたの意見も取り入れるべきだと思う。あなた自身がどう思ってるかは分からないけれど、私はあなたの意見も尊重すべきだと思った。 "
" あー分かる。結構色々言われてるけど、ぶっちゃけ動画主さんがどう感じたか分かんないんだしうちらが今言ってもねWWWWWWWWW "
" よかった。私がおかしいのかと思った。私も〇〇さんみたいな考えでこの動画のコメ欄開いたから、同じ人いて良かった! "


「味方もいるんだ。。」
ホッと胸を撫で下ろした。
その時、私はある返信に目がいった。

" 賛否両論あるけど私的にはこのコメ主はなーんも考えずコメントしたんだろうなーって。まあコメ主に対してバカにしたりしてる奴らも同類だけど。
コメントは意見言う場でもあるけど、それ以上に誰かが不快にならないようなステキなコメントをする場なんじゃないの?適当に文字打って投稿しても、それって結局はコメ主が批判してるこの動画と同じなんじゃない? "

長くて読む気が失せながらも、私は最後まで目を通した。
「" 同じ "……」
私は学校では友達が居なくて、常にネットばかりを見ていた。それが余計に気持ち悪く感じたのか皆は私を避けて、私の悪口を言うようになった。
ネットは好きなようにコメントや投稿、発信ができるし、匿名だから誰が何を言ったってバレない。
裏垢なら尚更誰も「誰がこのコメントをしたのか」なんて気にしない。
だから私は現実から目を背けてネットに逃げていた。


どこの誰かも分からない人から言われた
" 友達いなそー "これは、私にとって凄く刺さった。
ナイフのように尖っていて凄く心をえぐられたような感覚になった。


良くないってわかってる。
けど、いざ現実に向かおうとすると怖くて汗が止まらなくなる。震えとか寒気がしてくる。
現実よりもゲームやネットの方が楽しいしすごく居て気が楽だ。


やっぱり、ネットはやめられない。




" 現実逃避 "

2/27/2024, 4:04:34 PM