無音

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【233,お題:泣かないよ】

「泣かないよ、お姉ちゃんだもん!」

いつからその言葉が重石になっていたんだろう。


"泣かない"は"泣けない"に変わっていって

自分より下の子が不安になってしまうから

弱い姿は絶対に見せられない

そうやって呪いをかけていくうちに

涙は渇き、悲しさという感情すらも薄くなっていった。



「別に姉だからって何でも我慢する必要ないんじゃない?」

そういってくれたのは一つ上の先輩で

「泣けないって辛いよね~感情の発露が上手く出来ないってことだもんね~」

えらいえらいよ~、って頭を撫でられたとき
ずっと張り詰めていて、切れなくなった何かがプツッと切れた気がして

私は初めて、姉なのに泣いた。

私は初めて、

「おーよしよし、ずっと頑張ってきたんだねぇ~」

甘えることを許された気がした。


title.頑張っていた私へ

3/17/2024, 11:06:57 AM