蓼 つづみ

Open App




























































音もなく落下する乾いた雪は白くない
無色の氷の結晶が
冷たいのに柔らかく
濡れないのに冷たい

傷つけば優しくなれると
誰かが言った
けれど、その優しさは
何度も無言で使い捨てられ
指の熱を奪い取っては積もる

孤独は独自性を育てると
誰かが言った
けれど、この内側に
誰も踏み入ったりはしない
限界を迎えた言葉が凍っては落ちる

語りうるものではなくなった傷に
私は紙を貼り続けた

傷ができては、また貼って
幾重にもなったそれは
やがて紙ではなく
ただの重さになった

「もう、いえない」

この場所は
救いじゃなくて
終わりでもなくて

でも、争うことの必要も失った

しんと静まる無音が全てを覆う

方向も失ったままで
この沈黙はまだ私か


題 雪原の先へ

12/9/2025, 2:08:12 AM