欠月

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かり、と噛んで火をつける。
酒を飲んだ後にしか、煙草は吸わない。
変なの、と君は言った。
変だろ、と僕は返した。
彼女は過去に生きている。
夜に揺蕩って、寂しさに身を委ねて、彼女はそうして生きている。
僕は、どこにもいけない煙。
彼女の口から出て、身体にまとわりついて、ふっと消える。

過去に生きる彼女が、僕の未来にはなり得なかった。
どこにもいけない煙は、彼女を未来に導くことができなかった。

煙草の煙が、まとわりついて消えた。
隣にいた君は、もういない。
僕がどこかに存在していて、あるいは、君が未来に生きていたならば、君と一緒に生きる未来があったのかもしれない。
一度首を振る。
そんな2人は、きっと出会わなかった。

1/7/2026, 8:40:31 AM