YOU

Open App

雪原の先へ 凍える指先 です

雪原の先へ

見渡す限り、真っ白な雪で埋め尽くされた雪原をキミと歩く。
「ん」
何も言わず手を出すと
「何?」
キミは首を傾げる。
「転んだら危ないだろ」
そっけなく言うと
「ありがと」
ふふっと笑って、キミは手を取る。
「これなら、あったかいね」
僕たちが向かっているのは雪原の先。
その雪原の先へ辿り着いたとき、僕たちが目にするのは夜空いっぱいに広がる煌めく星空。
そして、流星群が降り注ぐ天体ショー。
「早くしないと始まっちゃうかな」
「大丈夫だよ、ゆっくり行こ」
慣れない雪で転ばないように、つないだ手に力を込め、目的地へ向かうのだった。


凍える指先

「はー、冷たい」
部署で残業中、キーボードを叩く指の冷たさに、指先に息を吹きかけていると
「指、冷えるよね」
隣の席のキミに声をかけられる。
「そうだね。暖房がついてるから寒くはないけど、指先はね」
息を吹きかけ続けていると
「これならどうかな」
息を吹きかけていた手が、キミの両手に包まれる。
「…あったかい」
「そう?良かった」
微笑むキミの笑顔に、凍える指先も、僕の心も温まったのでした。

12/10/2025, 9:33:04 AM