宵風に吹かれたい

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今日は塾。明日はピアノ。明後日はバイト。
そうやって手放してきた時間が、私のためじゃない事くらい知っている。
母親の第二の人生のコマでしかない。
友達からの誘いも断って、全ての時間を将来に投資する。

後ろから聞こえる楽しそうな笑い声、グラウンドから聞こえる沢山の黄色い声援、体育館から聞こえるシューズが床を擦る音。青い春を見ないフリする。
いつの間にか耳に入るのは自分の孤独な足音だけ。

私が手放した時間には、いったいどれほどの青い春があっただろうか。
私の人生は母親の人生。失敗した母親のための人生。
母親のために手放した時間に、私はいない。

全ては母親のため、私は従順なコマとなる。

11/24/2025, 8:00:24 AM