2/15「10年後の私から届いた手紙」
『今すぐばあちゃんに会いに行け!! 今すぐ!! 2月15日14時30分!! 騙されたつもりで行け!!!!!』
「…何これ?」
アタシの開いた手紙は、10年後の日付とアタシの名前の差出人。
何か切羽詰まってるし、まあ暇だし、ばあちゃんちすぐ近くだし、行ってみるか。
そうして顔を合わせた5分後、ばあちゃんは倒れた。その場にいたアタシが救急車を呼び、ばあちゃんは一命をとりとめた。
ありがとう、10年後のアタシ。
(所要時間:5分)
2/14「バレンタイン」
「これだけですかぁ〜?」
体を傾けて見上げてくる。
「意外とモテないんだねぇ、川上くん」
「モテてほしいのかよ」
もらったチョコを渡してやると、にまにまと受け取り、早速包装を開け始める。
「俺が甘党じゃなくてよかったな」
「感謝感謝☆」
「だったら俺にちゃんとした彼女作ってくれよ」
「ん〜、そこは領分じゃないのでぇ」
チョコをもぐもぐと満足そうに頬張るイマドキの座敷わらしを横目に、俺はため息をついた。
(所要時間:8分)
2/13「待ってて」
川向うのおじいちゃんが呼んでいる、気がする。紙一重で触手をかわした脳裏には、そんな光景がよぎった。
銃を構えて撃つ。魔物は叫び声のような音を上げるが、大したダメージにはなっていなそうだ。
リロード。弾は残りいくつあったかな。
触手を伸ばしてくる魔物を正面から迎え撃つ。多分あの目が弱点なんだけどな。上手く狙える自信はない。一か八か。
おじいちゃん、お願い。悪いんだけど、もうしばらくそのまま待ってて。
(所要時間:7分)
2/12「伝えたい」
伝えたい。
だが、それはまずい。
ことわざに「知らぬが仏」ともある。少なくとも今、ヤツが仏でいられるのは悪いことではないはずだ。
というかそもそも、知らない方が幸せなことって、たくさんあるんだよな。
まあ、静観しよう。たまにとはいえ、未来が見える事がバレるのは何より厄介だ。
なあ、中田。クラス一番のいたずら男子。
お前が教室の扉の上に仕掛けた黒板消し、校長先生に当たるぜ。
(所要時間:6分)
2/16/2024, 12:13:40 AM