[また明日は要らない]
「ねねカイ、これからバイバイじゃなくてまた明日って言って」
「なんで?」
「バイバイはね、もう会わないときとかに使うけどまた明日ねは明日会う約束だから!」
「へー、そうなんだ?じゃ、また明日な奏良」
「うん!また明日!」満面の笑みの奏良が頭に残っている。あの時、なんで違和感に気づけなかったんだろう。いつものように病室を訪れて帰り際奏良が
「今日も来てくれてありがと、海!バイバイ」
奏良は少し泣きそうな顔をしていた。
「奏良、また明日な」スクバを持って立ち上がろうとすると「ううん、海バイバイって言って」
「なんで?」「お願い」「んー、バイバイ?」
「うん!バイバイ」
彼は次の日以降会うことはなかった。俺は幼少期にしたあの約束をすぐに思い出すことができなかったことが今でも胸を刺す。
6/26/2024, 10:10:56 AM