駅からの通報を受けて、近くの交番から駆けつけた。
「刃物を持った男が、駅のホームをうろついている」
それだけの情報だった。
駅に到着してまもなく、対象の後ろ姿を確認し、後を追う。
男の右手には、鈍色のナイフ。
フードを被り、背中を丸めて、人の流れに逆らって歩いてゆく。
人混みをかき分け、君の背中を追って。
見覚えのある背中。
心が潰れそうなほど悲鳴を上げている。
男が、一人の女性の前に立ち、ナイフを持った右手を振り上げた。
私は、腰のホルスターから拳銃を抜き、警告を発しながら、その照準を息子に合わせた。
6/22/2025, 1:36:10 AM