開けない未読のLINEがある。
メッセージをくれた相手はとても良い人なのだが、つい最近行き違いがあった為、読むのを保留にしていた。
いい加減逃げているのも良くないだろう。
勇気を出して、アイコンをタップする。
開いてみると、何やら物騒な字面が並んでいる。
思わず心臓がヒヤリとし、怖さのあまり反射的にLINEを閉じようと思ったが、思い直した。
メッセージをくれるには、何か理由がある。
時間を割いてまで言葉を紡いでくれたのだ。
全文読んで傷ついたとしても、それすらも学びとすれば良い。
覚悟を決め、メッセージと向き合う。
メッセージの中に内在する「冷ややかな印象の言葉」を受け止める度に、身が切られていくような感覚がする。
それらを反省材料として拾い上げ、言葉の中を縫うように進んでいくと、胸の奥に温かみのようなものが広がっていった。
不思議だ。
相手のことを100%理解している訳では無い。
それでも、これまでの経験から相手の事を優しい人であると、心は信じて疑わない。
そのせいなのか、言葉の奥に優しさを見つけ出してしまう。
メッセージをくれた相手の思いすらも──。
感じたことは、幻かもしれない。
第三者から見て、この感覚は愚かな事であるかもしれない。
それでも──
構わない。
返信をタップし、キーボードに向かって指を滑らせる。
打つ言葉は決まっている。
「ありがとう」
開けなかったLINEの先には、人を信じる道が続いている。
それは勇気を伴う事だが、自分で決めた事と思えば後悔することもない。
間違えたならば、学びにすれば良い。
自身が体験する物事は、自分のためになるのだから。
9/1/2024, 2:57:38 PM