(※百合かもしれないので苦手な方は飛ばして下さい)
伝えたい、伝えたくない。
伝えたい、伝わって欲しくない。
伝えてしまいたい、伝わったらどうしよう。
何度も何度も、気持ちを右往左往させながら、
美味しい洋菓子屋さんに並ぶこと1時間。
ショーケースの中に宝石のように並べられた、
甘い茶色や柔らかい白色、光るような黒色…
色取りどりのそれらを一粒ずつ選んで、
まるで宝箱のように素敵な小箱に詰め込んでもらう。
仕上げに手触りの良いリボンで結ばれた、
上質な紙に包まれたそれを眺めながら考える。
どう言って渡そうか。
自分の分を買ったついでに?
いや、ついでにしては流石に立派過ぎる。
ずっと前から好きでした!って冗談混じりに…
いや、本気で取られた時が怖すぎる。
いっそ渡さないでおく?
いや、それは嫌だ、渡したい。
こないだ貰った誕生日プレゼントがすごく嬉しかったから…。
…よし。これで行こう。
方向性が決まったところで、眺めていたそれを大事に鞄にしまい、明日渡すまでの算段を立てながら歩き出す。
私とあの子は、そんなんじゃないのだ。
特別に仲良くしているとは思うけど、
2年生になって初めて同じクラスで、隣の席になった、
ただのクラスメイトで…。
大好きだけれど、この想いは伝えるつもりはない。
それこそ、墓場までもって逝くつもりだ。
願わくば、このままずっと。
何も悟られることなく、1番近い場所で側にいたい。
何かの間違いで私の気持ちが伝わってしまって、
今までの関係でいられなくなったらと思うと…。
とてもこわい。
---伝えられない気持ちを込めて。
---伝わらないでと願いながら。
---精一杯の親愛を込めた笑顔の奥に、
特別な想いを秘めて。
---明日、あなたに手渡す、
とびっきりの気持ちの代わり。
2/13/2023, 5:50:29 AM