シン

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【逆さま】
僕らは双子だ
心優しい兄のダイドと
頭の良い弟のライト

実の両親でさえ
僕らの見分けがつかないんだ

だから、たまに服を取り換えっこして
お互いのふりをするんだ

双子なだけあって
お互いのことが手に取る様に分かる

今日も翡翠の様な綺麗な緑色の髪を揺らして遊ぶ

この日々がいつまでも続くと思っていた
あの日までは…

両親が亡くなったらしい
曖昧なのは、まだ子供だからと
立ち会わせてはもらえなかったからだ

すぐに後継ぎを決めなくてはいけなくなった
優先だったのは兄のダイドだった
大人たちも弟のライトより兄のダイドの方が
扱いやすいと考えたのだろう
ライトは養子に出されることになった

弟のライトが養子に出される前日
最後の日くらい兄弟一緒に寝ることにした

ダイドはただ
「ごめん、ごめんな、ライト
    お前を守れなくて、こんな兄でごめんな」
とライトに謝った
「大丈夫、大丈夫だよダイド
   僕、絶対ダイドのところに戻って来るから」
「「約束」」

あれから長い月日が経ち
ダイドの前に1人の男が現れる
男は綺麗な緑色の髪をしていた
男の名は“ネフ”といった

ダイドはすぐにネフを気に入り
自分の召使なって欲しい
といった

ネフは少し謙遜をしたが
主人の願いということもあり
受け入れることにした

大人たちが1人また1人と辞めていく
そして、屋敷に残ったのはダイドとネフのみ

ダイドは
「やっと2人きりになったな、ネフ…いや、ライト」
といった
続けて
「あぁ、やっと帰って来れたよ、ダイド」
とネフ改めライトが言う

「まさか、こんなにも上手くいくとはね」
「あぁ、そうだな、まさか養子に出る前日に
     入れ替わってるなんて思わないだろうね」
「でも、これで逆さまだった立場も名前も元通りだね」

「「誰にも僕らの絆は裂けさせない」」
そういって2人で笑い合った

2人ぼっちの屋敷に笑い声が響く


参考資料
翡翠…ジェダイド(硬玉)
翡翠によく似た鉱石…ネフライト(軟玉)

12/6/2024, 12:25:42 PM