ホシツキ@フィクション

Open App

私は花が嫌いだ。
いつかは枯れてゆく。それも、人間が思っているよりも早く。
とても悲しい生涯だと。

『その儚さがいいって言う人多いもんな……花束なんて後々ゴミになるだけだし。』

こんなに花が嫌いになったのは――あの日からだ。

入院中、1人の友人が持ってきてくれた花束。
花瓶に入れて、ベッドの横の机に置いてもらった。
その後から友人どころか誰も見舞いに来なかったので、水は看護師さんが変えてくれていたが、最初の頃の華やかさはもう無かった。


最初こそ『綺麗だな』と思っていたが、日に日に弱々しくなっていく。


入院中で心細かったのもあるが、弱々しくなっていく花と自分が重なっているような気がした。

「お花、捨てておきますね。」

ある日看護師さんがそう言い、花瓶を持っていった。
戻ってきた空になった花瓶を見て、物凄く切なくなった。
そして私はしばらく入院生活を続け病気は治り、無事退院となった。



“久しぶりにドライブ行こう♪息抜き大事〜!”

見舞いに来てくれた友人からLINEが届いた。
休職していたし、暇だったのでドライブに付き合うことにした。


「どこ行くの?」
「ん〜?秘密〜」

車に揺られること1時間、着いたのはひまわり畑。

見渡す限りのひまわり。

「わぁ…!」
思わず口から漏れた言葉に、友人が反応する
「すごいでしょ〜?テレビで見てさ!近いし行きたいなーって思ってたんだよね〜♪」

その後も友人は喋り続けるが、
友人の言葉はあまり耳に入ってこなかった。

風に揺られるひまわりが、こっちに手を振って、踊り、歓迎しているようにも見えた。

『1輪1輪が、、生きてる。』

花は単に、人間を一時喜ばせるだけの言わば嗜好品のような存在だと思っていたが、
人間の世界があるように、花の世界もあるのかと、新しい発見をしたかのような衝撃を受けた。

―――花は悲しい、可哀想だと…私はエゴを押し付けていただけだ。



命あるものなら終わりは来る。
ただ花は人間よりも早く終わりが来るだけなのだ。


大切な人が亡くなると、故人をしのび、いつか天国でまた会える。と言う話になるだろう。
花も同じなのか、枯れても、また咲き乱れる。またここで会える。


今を一生懸命生きている花たち。


私も、そう生きていけることが出来るかな。
この花畑の中の1輪みたいに、高く強く。
ひまわりのように、上を向いて―――。



【花畑】~完~


読んでくださりありがとうございます。

あと昨日のいきなりの最終話、思ってた以上に♡︎が来てびびっております…!
本当にありがとうございます。

終わった理由としましては、元々結末を決めてたのがありますが、
昨日のお題を見て「ウワアア今日終われってことお!?」
となりまして…!
でも今日のお題からの何やかんや(?)の最終回が良かったです…

なんのお題がくるか分からないのも面白さの中のひとつですね。

9/17/2022, 12:37:07 PM