小絲さなこ

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「夜空に咲く花」


腹に響く振動に、胸が高鳴る。
部屋の灯りを消して、カーテンを開ける。

やはりこちら側だ。

この時期、この時間に窓を開けてしまうと、虫が入ってくる。
一瞬、躊躇して、結局開けてしまう。


色鮮やかな、空に伸びる光が咲き乱れる。


「自治体名 花火」で検索すると、届出済の花火の予定一覧が表示された。
 


「学校行事による……」

あぁ、そうか文化祭か。


文化祭の後夜祭の花火なのだろう。
漫画や映画の中でしか存在していないと思っていた。


生まれる場所が違ったら、育った地域が違っていたら、もしかしたら、漫喫していたかもしれない青春。
脳内で浮かんで消えていく。


最後、一番大きな花が咲いて、散る。


手を伸ばしても、届かないそれに蓋をするように窓を閉めた。




────窓越しに見えるのは

7/1/2024, 2:01:56 PM