【冬は一緒に】
『お疲れ様です。』
「お疲れ〜。今日もバイト?」
『いえ、今日は真っすぐ帰ります。』
「そっか。じゃあ、途中まで一緒に帰ろう。」
『はい!』
先輩と歩く帰り道。
吹き付ける風は、とても冷たい。
「テストはどうだった?順調?」
『あー、まぁ…ぼちぼちっすね。先輩は?』
「んー。私は…ちょっとまずいかも。」
『他の先輩方と違って、部活一筋でしたもんね。』
3年生の先輩のほとんどは、部活動よりも受験勉強に熱心だった。
そりゃあ、学生の本分は学業なんだから、
一生懸命に勉強するのは当たり前なんだけど…。
それにしても、部活が蔑ろにされている気がする。
2年生の先輩から聞いた話だと、去年までの3年生の先輩方は、
夏期講習と大会前の練習を両立させていたらしい。
今の3年生の先輩は、部活動よりも自分の利益の方が大事らしい。
全員がそうってわけではないけれど。
「まぁ…私はいいんだよ。AOで早く受験終わってるし。」
『そんなこと言って〜。卒業できなかったらどうすんすか。』
「いや、卒業はできる!…はず、さすがに。」
『ほんとっすか〜?』
「大丈夫だって!」
話しているうちに、先輩との別れ道に着いた。
いつの間にか、雪が降り始めていた。
『そんじゃ先輩、また明日!』
「うん、気を付けてね。」
『はーい!』
外がどんなに寒くても、先輩がいれば大丈夫。
卒業するまでもう少し、一緒の時間を過ごしたい。
12/19/2024, 2:08:54 AM