木陰

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そういえば小学生の時、2分の1成人式で私は
「太陽のような燃える心で、みんなを笑顔にする人になる」と将来の夢を語った。このクサい台詞は同級生の男子たちにからかわれたなぁ。その度に怒って彼らを追いかけ回す私も幼かった。
あれから月日は流れ、私は高校で失敗し、少し大きな病気を患い、辛い別れも経験した。あの頃豪語した「太陽のような燃える心」を志す気力はもう無い。まず病気のせいで燃えるような生活は出来ない。
そして、思えば、あの頃とは世界の見え方が何もかも違う。
あの頃は光だけが見えていた。
今なら……かつては見えなかった陰も見える。
物陰や木陰があってこそ、陽は輝きを増す。
今の将来の夢は何かと聞かれれば、こう答えよう。
燃え盛る太陽のような人にはなれずとも、時に陽だまりのような暖かさを、時に木陰のような涼しさを与えられるような、そんな人になることだと。

2/22/2024, 12:16:32 PM